布帛やニットのパッチを一つ一つ手で縫いとめ、重ねた、〝瘡蓋〞のようなアプリケーション。フリルやレースの甘さをつぶしながら、同時に新鮮なドレープやギャザーを作り出し、手仕事の繊細さと温かさを伝えている。そして瘡蓋から無数に流れ出る赤、白、青、黄色の糸が人の動きに合わせて優雅に舞う。

Patches of woven and knit fabrics are hand-stitched one by one and layered, creating a "SCAB" application. While crushing the sweetness of ruffles and lace, they simultaneously create fresh drapes and gathers, conveying the delicacy and warmth of handwork. The countless red, white, blue, and yellow threads flowing from the scabs dance gracefully with the movements of the wearer.

コレクションは白と黒でまとめられ、繊細なアプリケーションと、コインや不思議な音色を醸し出すバリの鈴、びっしりとつけた金や銀のバングルやチョーカーなどのトライバルなアクセサリーを際立てた。パンクなびょうは木で表現されている。手仕事による瘡蓋は靴やバッグにも及んだ。

The collection was black and white, highlighting delicate applications and tribal accessories such as coins, Balinese bells that create a mysterious tone, and gold and silver bangles and chokers that are densely adorned. Punk studs [TN: word for disease, warts] are represented in wood. Hand-crafted scans extended to shoes and bags.

高橋　盾インタビュー：「始めたからには死ぬまでパリで戦う」

佐藤絵子＝インタビュー、文

これまでにもパリコレデビューした日本人デザイナーはたくさんいる。私が思うに、成功への第一ステップを踏み出すための最初の鍵は二つある。まず、ショ一の準備から本番までの行程においてパリサイドの広報やスタッフと前向きな関係を保ち、最終的に彼らから認められ、リスペクトされる関係をつくれた場合。そして、デザイナーが、プレッシャーも多かったであろうパリ滞在を振り返って、パリのエスプリを認めて本国に戻る場合である。簡単な言葉で言い換えれば、ハートとハートのコミュニケーションがとれたかどうかが大切なのだと思う。それが、今後の活動を左右する。結論から言ってしまえば、高橋盾はこの二つの鍵を握って東京に戻ったと思う。ところで、アンダーカバーはなぜあえてこのタイミングでのパリコレデビューを選んだのか。「2年前にパリに来てプレスオフィスを回ったのですが、空気が違ったのです。自分と今、合わないと思いました。カルチャーも格好いいものを感じなかったし、バイブが合わなかった。ここ２年は、日本でできるだけ強いイメージをつくって、自然な流れで外に発信していく方法ーーうわさになって出ていけるようなーーを考えていたのですが、今回が自分で海外に出て真剣に取り組むいいタイミングだと感じたのです」と高橋は言う。

そしてショーの日がやってきた。半年前から日本をはじめ、世界のプレスがこの日を待っていた。コム　デ　ギャルソンもおすすめのジャパニーズ・ヤングファッションデザイナーに期待をしてこの日を待っていた人は少なくない。外国の雑誌でも、南青山の新しいブティックは取り上げられており、東京発のこの才能あふれるデザイナーをチェックしようと、会場にはファッション界の大物が大勢集まった。日本から来た高橋の友人軍団の緊張が伝わる。日本人記者の雰囲気もいつもと違う。いったい、このパリでのデビューコレクションでは、自分の世界観をどう見せようとしたのだろうか？　パリを意識しながらデザイン、そして演出を考えたのだろうか？

「自分が今まで東京で遊びながら身につけてきたアイディアや知識、テーストを崩さずに、東京でやってきた自分を西洋で見せた場合、どういう反応が起きるのか、ということに重点をおきました。パリに合わせるのではなく、今まで自分がやってきたことと同じ気持ちでやってみたいと思いました」と言う。「フレンチ・ヴォーグ」の編集長は、今回のコレクションを見て「パンクとエレガンスのミックスがすばらしい」とコメントしていた。「このコレクションではパンクな部分とエレガンス、そして手作りのパワーを表現したかった。手作りの持っているパワーも自分の一部としてちゃんとアピールしたかったし、そのスゴさを伝えたかったのです。そして三つすべてをミックスしたパワーを通して、デビュー一発めにバツンとインパクトのあるものを見せたいと思いました」

パンクとクチュール的なエレガンス、別の言葉に置き換えるなら、痛みとポエム（詩）の出会いかもしれない。様々な生地を切って洋服に手で縫い上げたアプリケーション、つまり瘡蓋の合間を、デリケートな糸がアドリブでヒュルルと着る人の動作とともに舞い上がる。この服には、作り手にとっての時間の重みはあっても、着る側や見る側にはいい意味の軽さ、そして詩的な感覚の味わいがある。

「それは自分の持っているバランス感覚だと思います。配置や糸の色や垂れ具合など、きれいなものに瘡蓋をしていくのだけれども、汚れすぎず、そして何かメルヘンティックな要素も必要。そういったいろんな要素のバランスをうまくとるように、今回は特に慎重になりました。どこまでデザインをつぶすのか、自分で何を消したいのか、きたない／きれいのボーダーラインのバランスに集中して、直感で仕上げました」

痛みとポエムが遊ぶ空間は〝ツイスト〟されたベーシックなデザインの洋服だ。「一からデザインされた洋服に対して瘡蓋をしていくのと、皆が知っているベーシックな洋服をちょっとツイストしたものに同じ瘡蓋をしていくのとでは全然見え方が違います。ベーシックなアイテムのほうが効果的だと思ったのです」

しかし、コンセプトはそこだけにとどまらない。アクセサリーやプリントの柄やフィナーレの演出にはエスニックな要素が力強く表現されている。

「宗教や民族をミックスして、人間は平等だという自分の考えを伝えたかった。洋服のデザインでいうと、人間がベースに持っているもの、例えば鈴の音などを含めた民族衣装や、温かい部分をポイントで入れたかったのです。自分にとってパンクとトライバルは近いものなのです」

フィナーレで、少し間をおいてからステージに現われたのは、アフガンの女性のチャドルを着たモデルたちであった。密封の要素のない、透けてカラフルでキュートな自由気ままのドレスである。しかし、その瞬間、真剣に考えさせられてしまう。ここはユーロという紙幣が使用されているヨーロッパのど真ん中。テレビの報道番組では毎日アフガニスタンの問題が取り上げられている。バラエティ番組にまで、アフガン女性の衣装に対するフランス国民のリアクション討論会が組まれている。政治や宗教は遊びごとではない。この題材をここまでカラフルにキュートに取り上げて、このデザイナーはこっちのプレスやバイヤーにたたかれるのではなかろうか？ショーの後に「ＭＩＸＴ（Ｅ）」の編集長、スティーヴン・トッドに意見をきいてみた。「ものすごくきれいだったよ。大好きだよ、この発想。今回のパリコレの中であえて強いイメージを選ぶとしたら、このアンダーカバーのアフガン女性のビジュアルを選択するね」と前向きなリアクション。

「反戦というポリティカルな考え方をはじめに言っておきたかった。それをあまり強調しすぎず中和させながら。顔が見えない状態で生活をしている女性の服にビビッドな色、柄やプリントを加え、しかも透けているということで、解放の気持ちを表現しました。そして、それを見て観客がどう思うのかを感じたかったのです。外国のインタビュアーたちにも主旨をきかれたのですが、説明すると同意してくれる人が多かったです。一人だけ、日本人ジャーナリストが、このアイディアは商売を左右すると言っていました。それはおもしろいじゃないですか、と答えると、いや、おもしろくない、とかたくなに返すのです。自分としてはおもしろいと思っています。あの発想は商売でもマーケティングでもありません。クリエーションをしているとき、頭の中はそれどころではありませんから。自分が何を作りたいかに集中しないと強いものは生まれません」

ショーは終わった。次のステップはバイヤーとのコミュニケーションである。ここでまた新しい挑戦が始まるのだ。表舞台には見えない裏手でも重要なバトルがある。それはパリサイドの販売エージェントのディレクションと高橋のオピニオンの確認から始まる。「最初は販売エージェントに自分のやり方は通用しないと言われて大変でしたが、とことん話し合った結果、とても理解してくれました。ストリートなアンダーグウランドの店よりも、感覚のとがった大人が来る店をピックアップしたのですが、最終的にバイイングはとてもいい調子でした。コレクションの評判がよくて、うれしいことにいろいろオファーがきましたが、お断りせざるをえないお店もありました」

では、パリでアンダーカバーの洋服を置くブティックはどこなのだろうか。ショーの数日後にあるフランス人パイヤーがこんなことを言っていた。「アンダーカバーはエリート主義だと思う。なぜパリでは１軒のブティックでしか販売しないのだろうか？　ロンドンでは３軒のブティックで販売されるのに、パリはオンリーワン。しかも、ロンドンもパリコム　デ　ギャルソンを扱っているブティックだよ。アンダーカバーってコムデを意識していると思う」。しかし、アンダーカバーのパリ広報、ローラン・スシェルの解説は違う。「今回、川久保さんのご主人がとても協力してくれて、大勢のハイグレードなバイヤーを紹介してくれました。最終的に、パリでは『レクレルール』１軒に絞ったのはエリート思考では全くなく、高橋の服を彼の世界観に最も近い形で見せてくれる店を選んだだけです。それに今回のコレクションは手の込んだ作りなので、販売数も限られています。そういうことで今回の結果なのです」。そしてスシェルは高橋をこう語る。「彼はものすごい才能の持ち主です。意志ははっきりしているのに、全く飾らないフランクな考え方がとても好きです」。では、高橋は今回の冒険をどう振り返るのだろうか。「リハーサルが終わった瞬間、落ち込みました。デザイン的に弱いと感じたのです。でも最終的に反応よく受け入れられたので、複雑ですが、やってよかったと思います。これからはパリで死ぬまで戦いつづけて、何かを残していきたいと思います。気合いは入っていますが、気張ってきたわけではありません。パリの人と話をしていて、ファッションに対しての懐の深さを実感しました。こっちの人はほんとうのことをすなおに言いますし、しかも熱いじゃないですか。ピュアなものを感じますね。中途半端じゃないんです。日本の場合は、ジャーナリストの最初の意見が基準になります。熱いものが伝わってこないのが残念です。情報がないとジャッジできないことが多い日本人。感じとっているんだけれども、恥ずかしくて言えないのかもしれません。自分もスタッフに対して恥ずかしくて『ありがとう』と言えなかったけれども、これからは言いたいですね。アートもそうですが、頭で考えるよりもハートで感じるほうが大切じゃないですか」

パリの、フランクで、時に熱い部分を感じた高橋が、彼が得た二つの鍵で、今後どう遊んでいくのかが楽しみである。

Interview with Jun Takahashi: "Now that I Started, I Will Fight in Paris Until I Die."

Interview and text by Eko Sato

There have been many Japanese designers who have made their Paris debut. In my opinion, there are two initial keys to taking the first step toward success. First, the designer must maintain a positive relationship with the Paris publicists and staff during the entire process from the preparation of the show to the actual show, and finally be recognized and respected by them. Then, when the designer looks back on their stay in Paris, which must have been a time of much pressure, the designer returns to their home country with an appreciation of the Parisian spirit. To put it in simple terms, I think it is important whether or not heart-to-heart communication has been established. That will determine our future activities. In conclusion, I think that Jun Takahashi returned to Tokyo with these two keys in his hand. By the way, why did Undercover dare to choose this timing for its Paris debut? "I came to Paris two years ago and visited the press office, but the atmosphere was different. I felt that it didn't match me at the time. I didn't feel the culture was cool, and the vibe didn't match. For the past two years, I had been thinking about how to create as strong an image as possible in Japan and then transmit that image to the outside world in a natural way - by getting the word out and getting out there," says Takahashi.

Then came the day of the show. For six months, the press in Japan and around the world had been waiting for this day. Not a few people had been waiting for this day with high expectations for the Japanese young fashion designers recommended by Comme des Garçons. Foreign magazines also featured the new boutique in Minami Aoyama, and many big names in the fashion world gathered at the venue to check out this talented designer from Tokyo. You could sense the nervousness of Takahashi's army of friends from Japan. The atmosphere of the Japanese press was also different from usual. What in the world was Takahashi trying to show in his debut collection in Paris?　Did he design and direct his collection with Paris in mind?

"I focused on what kind of reaction I would get if I showed myself in the West, without losing the ideas, knowledge, and taste that I have acquired while playing around in Tokyo. I did not want to adapt to Paris, but rather to do what I have done up until now with the same feeling," he said. The editor-in-chief of French Vogue commented on the collection, "the mix of punk and elegance is wonderful." "I wanted to express punk, elegance, and the power of the handmade in this collection. I wanted to show the power that handmade has as a part of me, and I wanted to convey how amazing it is. And through the power of mixing all three, I wanted to show something that would have a big impact on my debut."

Punk meets couture elegance, or to put it another way, pain meets poetry. The application of various fabrics cut and sewn by hand into clothing, or in other words, between scabs, delicate threads soar with the wearer's movements in an improvised whistling. These clothes may have the weight of time for their makers, but for the wearer and viewer they have a nice lightness and a poetic sense of taste.

"I think it is a sense of balance that I possess. The placement, the color of the threads, the way they hang, and so on... I want to cover something beautiful, but not too dirty, and there must also be some fairy-tale element. I was especially careful this time to strike the right balance between these various elements. I concentrated on the balance of the borderline between dirty and clean, and used my intuition to determine how much of the design I wanted to remove, and what I wanted to erase."

The space where pain and poetry play is the "twisted" basic design of the clothes. "There is a difference between applying a pressure ulcer to an outfit designed from scratch and applying the same pressure ulcer to a slightly twisted version of a basic outfit that everyone knows. We thought basic items would be more effective."

But the concept doesn't stop there. Ethnic elements are powerfully expressed in the accessories, print patterns, and finale.

"I wanted to mix religions and ethnic groups to convey my idea that human beings are equal. In terms of clothing design, I wanted to include ethnic costumes and warmth at points, including things that humans have at their base, such as the sound of bells. For me, punk and tribal are very close."

In the finale, after a short pause, models in Afghan women's chadors appeared on stage. They were transparent, colorful, cute, and free-spirited dresses without any sealing elements. But at that moment, it makes you think seriously. This is the middle of Europe, where the banknote called the Euro is in use. Every day on TV news programs, the issue of Afghanistan is discussed. Even variety shows include a debate on the French public's reaction to an Afghan woman's dress. Politics and religion are not a game. I wonder if the designer will be slammed by the press and buyers over here for taking up this subject in such a colorful and cute way. After the show, I asked Stephen Todd, editor-in-chief of MIXT(E), for his opinion. I asked Stephen Todd, editor-in-chief of MIXT(E), what he thought after the show: "It was beautiful. I love this idea. If I had to choose a strong image for this Paris Collection, I would choose this Undercover Afghan woman."

"I wanted to start with the political idea of anti-war while neutralizing it without overemphasizing it too much. I expressed the feeling of liberation by adding vivid colors, patterns, and prints to the clothes of women living without being able to see their faces, and by making them transparent. I also wanted to feel what the audience would think when they saw them. I was asked by foreign interviewers about the main idea, and many of them agreed with me when I explained it to them. Only one Japanese journalist said that this idea could affect business. When I responded, "that's interesting," he stubbornly replied, "no, it's not interesting." I think it is interesting. That idea is neither business nor marketing. When I am creating, my mind is not on that. If you don't focus on what you want to create, you won't be able to create something strong."

The show is over. The next step is communication with buyers. This is where new challenges begin. There is also an important battle behind the scenes that is not visible on the front stage. It begins with the direction of the Paris-side sales agents and the confirmation of Takahashi's opinion. "At first it was difficult because the sales agent told me my way would not work, but after much discussion, he was very understanding," says Takahashi. "I picked up stores that appealed to the more sensible adults rather than the streetwise undergrowth stores, and in the end, the buying went very well. The collection was well received, and I was happy to receive many offers, but I had to decline some of them."

So which boutiques in Paris will carry Undercover clothes? A few days after the show, a French buyer had this to say. "I think Undercover is elitist. Why do they only sell in one boutique in Paris? It is sold in three boutiques in London, but in Paris, it is the only one. And in London, they are also the only boutiques that carry Paris Comme des Garçons. I think Undercover is aware of Comme des Garçons," he says. However, Laurent Suchel, Undercover's Paris publicist, has a different explanation. "This time, Mrs. Kawakubo's husband was very supportive and introduced us to many high-grade buyers. In the end, we narrowed down our selection to one "L'Eclaireur" in Paris, not out of elitist thinking at all, but simply because we chose the store that would show us Takahashi's clothes in a way that most closely resembled his world view. Besides, this collection is elaborately made, so the number of sales is limited. That's how it turned out this time." Suchel then describes Takahashi as follows: "He is a very talented man. He has tremendous talent. He has a very clear intention, but I like his frank and unpretentious way of thinking." So how will Takahashi look back on this adventure? "The moment the rehearsal was over, I felt depressed. I felt that the design was weak. But in the end it was accepted with a good response, so it was complicated, but I am glad I did it. From now on, I want to keep fighting in Paris until I die and leave something behind. I am very enthusiastic, but I did not come here with a lot of energy. Talking with people in Paris, I realized how nostalgic they are about fashion. People here speak the truth honestly, and they are passionate. I feel a sense of purity. They are not half-hearted. In Japan, a journalist's first opinion is the standard. It's a pity that we can't feel the passion. Japanese people often cannot judge without information. Maybe they are sensing something but are too embarrassed to say it. I myself was too embarrassed to say "thank you" to the staff, but from now on I want to say it. As with art, it is more important to feel with your heart than to think with your head."

It will be interesting to see how Takahashi, who felt the frank and sometimes hot side of Paris, will play with the two keys he obtained.

ヘアメークを担当したのはこれまでと同様、モッズヘアの加茂克也。編み込んだ髪に縫いめぐらせたメタルビーズを飾ったひもが美しいベールのような効果を生んでいる。

Hair and makeup were done by Katsuya Kamo of Mods Hair, as in the past. The braided hair was decorated with metal beads sewn into the strings, creating a beautiful veil-like effect.

瘡蓋で彩られた黒と白のコレクションがランウェーの向うに消え去り、会場は暗転。会場に拍手が広がりはじめた瞬間、爆音のクラストとともに、ビビッドカラーにプリントをのせた、シースルーのチャドルが次々と駆け抜けた。ピンク、グリーン、オレンジ、ブルー ⋯ ⋯。美しく、強い、高橋のメッセージに会場からは盛大な拍手がわき起こった。

The venue went dark as the black and white collection, decorated with scabs, disappeared down the runway. The moment the audience started to applaud, see-through chadors with vivid colors and prints ran past one after another with the sound of the explosion of the crust. Pink, green, orange, blue… Beautiful and strong, Takahashi's message was received with thunderous applause from the audience.

コレクションクリティック。
from PARIS

うわさがうわさを呼び、アンダーカバーのパリ・デビューは、現地でも話題の的だった。待望のコレクションを見たジャーナリストやバイヤー、スタイリストたちにそれぞれの感想をきいた。

このデザイナーには絶対的な才能、国籍を超えた才能があると思います。音楽も最高によかった。あえて言うなら、エスニックなアクセサリー使いが少しヘビーに感じました。少し減らすことによって、よりシャープでパワフルになったのでは？ところで、高橋さんってどんな人なのでしょう？今度パリに来たときにはぜひ一緒にランチでもしながらお話ししてみたいです。いかが？　とにかくとても気に入りました。今後の活躍を期待しています。

JEAN-JACQUES PICART
(FASHION CONSULTANT)

アンダーカバーのコレクションはとても気に入りました。素材の本格的なアプローチ、そして「ジャパニーズ・ストリート感覚」と「クチュール感覚」のドッキングとバランスがよかった。個人的には、スーパーポジションのパンタロンが特に印象的でした。

SARAH
(COLETTE DIRECTOR)

これまでも東コレの写真は見ていましたが、個性の強そうな人だと思っていました。今回、ショーを見ている時にフランス人のジャーナリストが「発想が誰々に似ている」と言っていましたが、高橋さんが言おうとしているのは、そういうことではないと思いましたし、私はその部分は気になりませんでした。民族とパンクが交ざっていて、女性の解放を伝える姿勢もフィナーレもとても好きでした。動物の柄などもかわいらしかったです。でも強さが少し足りないと感じました。今回、パリコレは初めてでしたし、今後、どうまとめていくのか、期待しています。

KANAKO B. KOGA
(STYLISTE)

パンクと手作り感覚、そして民族のミックスというコンセプトがはっきりと伝わるコレクションでしたが、少し残念に思ったのは、そのワンアイディアが長々と続いたこと。途中でちょっとテンションが低く感じられました。でもフィナーレの爆発はとても好きでした。今回、パリコレで見たショーの中からあえて強いビジュアルを選ぶとしたら、アンダーカバーのアフガン女性のイメージを選びたいですね。

STEVEN TODD
(MAGAZINE MIXT(E) EDITOR IN CHIEF)

実際にショーを見ることはできませんでしたが、コレクションの写真を見てショックを受けました。ファッションデザイナーがこのスタンスでアフガン女性を取り上げるという発想には考えさせられます。ファッション界の人が、このようなシビアなテーマをリサイクルして利用するという考え方はショッキングであり、個人的には賛同できません。

LAURENCE BENAIM
(FASHION CRITIC & JOURNALIST)

高橋はロックンロール感覚と、ピュアな味のある人だと思います。そして偉大な才能の持ち主。これまでに見てきた日本特有のコンセプチュアルなデザイナーとは違って、国籍を超えた新世代のデザイナーだと思います。周りにいる若い日本人スタッフからもたいへんリスペクトされている空気が漂います。作品からは完璧主義と繊細さが伝わってきます。彼は音楽や演出など、すべてを一人で決めていくタイプです。人任せを好まないように感じました。今回は世界中の優れたブティック15軒で販売が決定しましたが、彼は一気に多くの店で販売され、一気に有名人になろうとは思っていないと思います。自分自身に対してフェアであり、同時に自分のイメージを大切にキープしていきたいのだと思います。彼には詩的なセンスがあり、そこに特に感動させられました。彼は深く、敏感で、才能にあふれています。

LAURENT SUCHEL
(ATTACHÉ DE PRESSE)

今回パリコレデビューを飾るということで、業界ではかなりうわさになっていました。コム　デ　ギャルソンのお気に入りだとか、カルトなブランドだとかで、興味を持たずにはいられない存在でした。ルックブックのビジュアルなどはなかなかセンスがよく、シャープでアーバンで若いイメージづくりがとてもよかったと思います。ショーは見られませんでしたが、ショールームで実際に服を見たところ、ヨーロッパのマーケットにはあまり向かない商品だと思いました。確かに手の込んだ美しい服ですが、バイヤーとしては一歩ふみだせませんでした。なぜなら、ディテールが多すぎるから。フランス人はディテールの多すぎる、技の入りすぎた服は好みません。また、このコレクションではアンダーカバーのカルトな部分があまりよく伝わらなかった。業界では期待が大きかったものの、ちょっとがっかりしました。

ROBIN SCHULIE
(MARIA LOUISA MIXTE DIRECTOR & BUYER)

とても美しいコレクションでした。実際に買って着たい服もたくさんありましたが、パンクテーストのアプリケーションには新鮮味を感じませんでした。ヨーロッパでは見慣れている発想です。でも今の時代に合う洋服だと思いますし、総合的にはとても気に入っています。次回のショーが楽しみです。

MARION CHAMBRETTE
(MAGAZINE JALOUSE STYLIST)

Collection Critique.
from PARIS

Rumor after rumor, Undercover's Paris debut was the talk of the town. We asked journalists, buyers, and stylists who saw the long-awaited collection what they thought.

I think this designer has absolute talent, a talent that transcends nationality. The music was great as well. I would venture to say that I found the use of ethnic accessories a bit heavy. By reducing it a bit, it could have been sharper and more powerful. By the way, what kind of person is Mr. Takahashi? I would love to have lunch and talk with him next time he comes to Paris. How about it?　Anyway, I liked it very much. I look forward to your future activities.

JEAN-JACQUES PICART
(FASHION CONSULTANT)

I really liked the Undercover collection. I liked the authentic approach of materials, and the docking and balance of "Japanese street sense" and "couture sense". Personally, I was particularly impressed with the super position pantaloons.

SARAH
(COLETTE DIRECTOR)

I had seen pictures of Tokyo Collection in the past and thought he seemed to have a strong personality. This time, when I was watching the show, a French journalist said that his ideas were similar to someone else's, but I didn't think that was what Mr. Takahashi was trying to say, and I didn't mind that part. I loved the mixture of ethnic and punk, the attitude of conveying women's liberation, and the finale. The animal patterns, etc. were cute. But I felt it lacked a little strength. This was my first time at the Paris Collection, and I am looking forward to seeing how they will put it all together in the future.

KANAKO B. KOGA
(STYLISTE)

The collection clearly conveyed the concept of mixing punk, handmade sense, and ethnicity, but what was a little disappointing was that the one idea went on for a long time. I felt the tension was a little low in the middle of the show. But I really liked the explosion in the finale. If I were to dare to choose a strong visual from the shows I saw at the Paris Collection this time, I would choose Undercover's image of Afghan women.

STEVEN TODD
(MAGAZINE MIXT(E) EDITOR IN CHIEF)

Although I was not able to see the show in person, I was shocked when I saw the pictures of the collection. The idea that a fashion designer would take this stance on Afghan women makes me think. The idea that someone in the fashion world would recycle and use such a serious theme is shocking and I personally do not agree with it.

LAURENCE BENAIM
(FASHION CRITIC & JOURNALIST)

I think Takahashi has a rock and roll sensibility and pure taste. And a great talent. I think he is a new generation of designers who transcends nationality, unlike the Japanese-specific conceptual designers I have seen in the past. There is an atmosphere of great respect from the young Japanese staff around him. His work conveys perfectionism and delicacy. He is the type of person who decides everything by himself, including music and direction. I felt that he does not like to leave things to others. This time, the piece will be sold in 15 of the best boutiques around the world, but I don't think he wants to be sold in many stores at once and become a celebrity all at once. I think he wants to be fair to himself and at the same time, he wants to keep his own image. He has a poetic sense, and I was particularly impressed by that. He is deep, sensitive, and talented.

LAURENT SUCHEL
(ATTACHÉ DE PRESSE)

There was quite a rumor in the industry that he would be making his Paris collection debut. I couldn't help but be interested in the brand, as it was said to be a favorite of Comme des Garcons and a cult brand. The visuals in the lookbook were quite tasteful, and I thought the sharp, urban, young image they created was very good. I didn't get to see the show, but when I saw the clothes in the showroom, I thought the products were not really suited for the European market. The clothes are beautiful and intricate, but as a buyer, I couldn't take a step forward because there are too many details. Because there were too many details. The French don't like clothes with too many details and too much skill. Also, this collection did not convey the cult of Undercover very well. Although there were high expectations in the industry, I was a bit disappointed.

ROBIN SCHULIE
(MARIA LOUISA MIXTE DIRECTOR & BUYER).

It was a very beautiful collection. There were many clothes I actually wanted to buy and wear, but the punk-taste applications didn't feel fresh. It is an idea we are used to seeing in Europe. But I think the clothes fit the current times and overall I really like the collection. I am looking forward to the next show.

MARION CHAMBRETTE
(MAGAZINE JALOUSE STYLIST)